
深圳市は2025年3月3日、「具身知能ロボット技術革新・産業発展行動計画(2025—2027年)」を発表しました。2027年までに関連産業規模1,000億元以上、クラスター企業1,200社超などを目標に掲げ、中核部品やAIチップの開発、実証の場の開放など18項目の重点任務を示しました。
概要
深圳市は2025年3月3日、「深圳市具身知能ロボット技術革新・産業発展行動計画(2025—2027年)」を発表しました。「具身知能」とは、AIがロボットなどの身体を通じて周囲を認識し、行動する技術を指します。投資界(PEdaily)の報道では、同計画は深圳市科技創新局が所管しているとされています。
計画は2027年を目標年とし、関連産業規模を1,000億元以上、具身知能ロボット産業クラスターの企業数を1,200社超に拡大し、産業の総合力を国際的にトップレベルに引き上げることを掲げています。
背景
深圳は電子部品、モーター、電池、センサーなどのサプライチェーンが集積し、産業用・サービス用ロボットの開発拠点としても知られています。2025年2月25日の市政府活動報告でも、「AI+」行動の重点分野の一つとして具身知能が挙げられていました。世界的にヒューマノイドロボットへの関心が高まるなか、深圳は今回の計画で、技術開発から量産・応用までを一体的に後押しする姿勢を示しました。
主なポイント
報道によると、2027年までの主な数値目標は次のとおりです。
| 項目 | 目標 |
|---|---|
| 新たに育成する評価額100億元超の企業 | 10社以上 |
| 年間売上高10億元超の企業 | 20社以上 |
| 10億元規模の応用シーン | 50件以上 |
| 関連産業規模 | 1,000億元以上 |
| 産業クラスターの企業数 | 1,200社超 |
計画は全18項目の重点任務を、大きく三つの柱に整理しています。
- 中核技術の突破:小型モーター・関節モジュール、触覚・力覚センサー、高エネルギー密度電池などの中核部品、ロボット用AIチップ、多指の器用なハンド、具身知能の基盤モデル、全身の運動制御技術の開発。
- 公共プラットフォームの整備:重点実験室、試験場、検査・認証機関、ロボットの種類をまたぐオープンデータセットの構築、モデル学習向けの計算資源利用を補助する「訓力券」、標準化委員会の設置など。
- 産業エコシステムの育成:量産工場への支援、初号機(首台套)の応用支援、行政・製造・教育・医療・交通などで50件以上の応用シーンを順次開放、部品メーカーとの連携を促す産業アライアンス、海外展開支援、ハイテクフェア(高交会)などの国際イベント開催。
日本・深圳の交流への意味
ロボットの中核部品である減速機、モーター、センサー、制御機器などは、日本企業が長年にわたり技術を蓄積してきた分野です。深圳が完成品ロボットの開発・量産を加速させれば、部品供給や共同開発、検査・認証などの面で日本企業との接点が増える可能性があるとみられます。
また、計画には海外展開支援や国際的な大会・フォーラムの開催も盛り込まれており、日本の研究機関やスタートアップにとっても、深圳の実証環境や産業集積を知る機会が広がることが期待されます。少子高齢化が進む日本では介護・物流などでのロボット活用への関心が高く、応用面での交流にも注目が集まっています。
一方で、ロボットの実用化には安全性の確保や評価基準づくりが欠かせず、計画にも検査・認証や標準化の取り組みが盛り込まれています。こうした分野は国際的なルールとの整合も重要となるため、日中の研究者や業界団体による意見交換が今後一段と重要になるとみられます。産業チェーンの観点では、深圳は完成品の統合・迅速な改良・量産に強みを持ち、日本は高精度部品や信頼性管理の蓄積があり、双方の補完性に注目が集まっています。技術協力、標準、人材交流の面でどのような好循環が生まれるかが、引き続き注目されます。
今後の見通し
計画は2025年から2027年までの3年間を対象としています。応用シーンの公開や支援策の具体的な申請手続き、関連予算などの詳細は、今後関係部門から順次示されるとみられます。
促進会より
当会は、深圳のロボット・AI産業の動向を引き続き注視し、会員の皆さまに情報を提供してまいります。日本と深圳の技術交流のきっかけとなる場づくりにも、引き続き努めてまいります。
本記事は公開情報をもとに作成した参考情報です。内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

