
2025年2月25日、深圳市第7期人民代表大会第6回会議が開幕し、覃偉中市長が政府活動報告を行いました。戦略的新興産業の付加価値で2桁成長を維持する目標を掲げ、「AI+」行動や国家低空経済総合モデル区の建設など、新たな成長分野への取り組みを打ち出しました。
概要
2025年2月25日、深圳市第7期人民代表大会第6回会議が開幕し、覃偉中市長が2025年の政府活動報告を行いました。財聯社や格隆匯などの報道によると、報告は戦略的新興産業の付加価値について「2桁成長を維持する」との目標を掲げ、人工知能(AI)、低空経済、宇宙・航空(空天)といった新たな産業分野での競争に全力で取り組む方針を示しました。
背景
深圳は電子情報、自動車、新エネルギーなどの製造業集積を強みに成長してきました。近年は「20+8」と呼ばれる戦略的新興産業クラスター・未来産業の育成を進めており、ドローンや電動垂直離着陸機(eVTOL)を活用する低空経済にも早くから力を入れてきました。
深圳特区報(2025年2月4日)によると、深圳は2024年2月に低空経済に関する全国初の地方条例を可決し、同年には国家低空経済産業総合モデル区にも認定されました。2024年末までに市内に483カ所の離着陸場が整備され、2024年のドローンによる貨物配送は77万6,000便、ヘリコプターによる旅客輸送は2万8,000便に上ったとされています。低空経済の産業チェーン企業は1,700社を超え、全国最多とされています。
主なポイント
報道で伝えられた報告の主な内容は次のとおりです。
- 既存産業の高度化:電子情報、自動車、新エネルギー産業の国際的地位を固め、「ICT+」行動を実施して「第二の成長曲線」を育成します。
- 「20+8」クラスター:戦略的新興産業クラスターの発展・拡大を進め、付加価値の2桁成長を維持します。
- 「AI+」行動:アルゴリズム、AIチップ、身体性を持つAI(具身知能)、高度運転支援、端末向け軽量モデルなどで突破を図り、AI端末製品の発展を進めます。
- 低空経済:国家低空経済産業総合モデル区の建設を加速し、都市型航空交通管理の試行都市を目指します。空・宇宙・地上一体の低空感知ネットワークで、全域カバーを世界に先駆けて実現する目標も掲げました。
日本・深圳の交流への意味
報告が重点に掲げたAI、ロボット、ドローン、電子部品といった分野は、日本企業が素材・部品・精密加工・制御技術などで強みを持つ領域とも重なります。深圳が新産業の育成を加速させるなかで、日本企業にとってはサプライチェーンや共同開発での連携機会が広がる可能性があるとみられます。
また、低空経済のように制度づくりと実証が同時に進む分野では、安全基準や運航管理のあり方など、日本でも議論が続くテーマが多く、自治体や業界団体レベルでの情報交換にも注目が集まっています。
深圳市の政府活動報告は、市の1年間の重点施策を示すものであり、各区や関連部門の具体的な計画の起点となります。日本の自治体や経済団体が深圳との交流事業を企画する際にも、どの分野に市の重点が置かれているかを把握しておくことは有益とみられます。とくに、報告で「AI端末製品」の発展が挙げられた点は、スマートフォンや家電、ウェアラブル機器などで実績を持つ深圳企業の動向を見るうえでも注目されるポイントです。既存の強みを固めつつ新分野に布石を打つという方針は、深圳と取引のある日本企業の協力の重点にも影響するとみられます。
また、低空経済やAIといった新しい分野はルールや基準の整備が進行中であり、協力を検討する日本の企業・機関にとっては、深圳の各部門が順次打ち出す具体的な施策やプロジェクトの情報を適時に把握することが重要になるとみられます。
今後の見通し
報告で示された方針は、今後、分野別の行動計画や支援策として具体化されていくとみられます。ただし、各施策の詳細や予算規模、実施スケジュールについては、今回の報道の範囲では明らかになっておらず、今後の関係部門の発表が待たれます。
促進会より
当会は、深圳市の産業政策の動きを引き続き丁寧にフォローし、会員の皆さまに分かりやすくお伝えしてまいります。日本と深圳の企業・団体が新しい分野で交流できる機会づくりに、今後も取り組んでまいります。
本記事は公開情報をもとに作成した参考情報です。内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

