
深圳に本社を置くBYDは10月4日、日本の軽自動車規格に合わせて開発した電気自動車「RACCO(ラッコ)」を日本以外の市場でも販売すると発表しました。まずスリランカとマカオで展開し、右ハンドル市場を優先して需要を見極めるとしています。
概要
深圳に本社を置く中国の自動車・電池大手、比亜迪(BYD)は2026年10月4日(日曜日)、日本市場向けに開発した軽規格の電気自動車(EV)「RACCO(ラッコ)」を、日本以外の市場でも販売すると発表しました。日経アジアなどによると、発表は神奈川県平塚市の販売店で行われ、最初の販売先はスリランカとマカオです。スリランカでは10月9日に正式発売が予定され、マカオでは受注が始まったと報じられています。
ラッコは日本の軽自動車規格(車体の長さ・幅・高さや出力の上限)に合わせて設計された車種で、BYDが日本市場のためだけに開発した初めてのモデルとして注目されてきました。BYDは今後、右ハンドルの市場を優先しながら、海外での需要を積極的に評価していくとしています。
背景
BYDは2023年に日本の乗用車市場に参入し、これまでにSUVやセダンなど複数のEVを投入してきました。報道によると、日本での累計販売台数は全車種合計で1万台を超えています。また、販売網の拡大も進めており、2026年末までに国内約100店舗体制を目指す方針が伝えられています。
日本の新車販売の約3分の1を占めるとされる軽自動車は、国内メーカーが長年強みを持つ分野です。海外メーカーが軽規格のEVを投入するのは異例で、ラッコは日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」などと競合する車種として位置づけられています。日本で発売された後、受注は2週間で1,000台を超え、発売から約2か月で2,000台を超えたと報じられています。
主なポイント
- 海外展開の第一弾:スリランカ(10月9日発売予定)とマカオ。いずれも日本と同じ左側通行・右ハンドルの市場です。
- 車体寸法:全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,800mm、ホイールベース2,520mm、4人乗り。
- パワートレイン:前輪駆動モーターの最高出力は軽規格上限の47kW。電池はリン酸鉄リチウム(LFP)で、22.4kWhと35.84kWhの2種類。
- 航続距離(WLTC):約210km(小容量)と約320km(大容量)。軽EVとして初めて300kmを超えたとされています。
- 日本での価格:214万5,000円から。
今回の発表は、日本の規格を前提に開発した車種を、同じ右ハンドル圏の市場へ横展開する試みといえます。一方、中国本土では現地の小型EVとの価格競争が激しいことから、投入の可能性は低いとの見方も報じられています。
日本・深圳の交流への意味
深圳発の企業が日本市場の規格やニーズに合わせて製品を開発し、その成果を第三国へ広げる動きは、日本市場が「開発の起点」としての役割を持ち得ることを示す事例とみられます。日本の消費者の厳しい品質要求に応えた製品は、他の市場でも信頼性の裏付けになると受け止められる可能性があります。
また、軽EVという日本独自のカテゴリーに海外メーカーが参入したことで、国内の自動車メーカーや部品・充電インフラ関連企業にとっても、競争と協業の両面で新たな動きが生まれることに注目が集まっています。販売店網の拡大に伴い、整備やアフターサービスなど地域レベルでの日中企業の接点も増えていくとみられます。
今後の見通し
スリランカでの発売とマカオでの受注開始が当面の節目となります。報道では香港、英国、オーストラリアなどの右ハンドル市場も候補として取り沙汰されていますが、現時点でBYDから正式な発表はなく、どの市場に広げるかは未定です。日本国内での販売動向や販売網の拡充の進み具合も、引き続き注目されます。
促進会より
当会は、深圳企業による日本市場向けの製品開発や事業展開の動向を引き続き注視してまいります。日本と深圳の企業・関係者が情報を交換し、相互理解を深める場づくりに、今後も努めてまいります。
本記事は公開情報をもとに作成した参考情報です。内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

